NY演劇留学記118|ブロードウェイをハシゴした贅沢な一日

9時起床。

朝の散歩がてら、ブロードウェイへラッシュチケットを買いに行く。

昼公演のミュージカルを一本確保。

まずは幸先のいいスタートだ。

一度帰宅して読書。

今日はオーガスト・ウィルソンの**『ピアノ・レッスン』**を読み終えた。

1930年代のアメリカ。

一台のピアノを売るか残すかを巡って対立する姉と弟。

その背景には、黒人たちの歴史や差別、そして過去の亡霊が重く横たわっている。

ピューリッツァー賞受賞作だけあって、扱っているテーマは深い。

この時代の黒人を描いた作品を読んでいると、いつも感じることがある。

登場人物たちは、物事をとてもストレートに考える。

もちろん、それが良い意味でも悪い意味でも。

長く抑圧され、理不尽な環境に置かれ続けると、人は本当に必要なものだけを求めるようになり、考え方もシンプルになっていくのだろうか。

そんなことを考えながら読んでいた。

これはあくまで僕の勝手な分析だけれど。

午後はミュージカル**『Grey Gardens』**へ。

『マンマ・ミーア!』『シカゴ』『ウェディング・シンガー』など華やかなタイトルが並ぶ中で、

**「Grey Gardens(灰色の庭)」**という地味なタイトルに妙に惹かれた。

「これは骨太な作品かもしれない。」

そんな期待を抱いて劇場へ入る。

ところが……

一幕は正直かなり苦戦した。

英語が十分に理解できないこともあったが、それを差し引いても自分には入り込めず、初めて観劇中に居眠りをしてしまった。

二幕は少し楽しめたものの、どこか消化不良。

せっかくブロードウェイまで来たのだから、このまま終わるのはもったいない。

夜公演を探してみる。

見つけたのは**『ウィキッド』**。

ラッシュチケットはロッタリー方式。

約400人の中から20人ほどが当選する狭き門だ。

前回は外れた。

そして今回――

当たった!

しかも一列目のほぼ中央。

110ドルの席を、25ドルで観られることになった。

最高だ。

『ウィキッド』は、『オズの魔法使い』の前日譚。

スター・ウォーズで言えば、エピソード1〜3のような位置づけの作品だ。

これはまさに王道ミュージカル。

歌もダンスも圧巻だった。

特にエルファバ役の歌唱力には鳥肌が立った。

今日改めて気づいたことがある。

今の僕がミュージカルに求めているものは、

やはり圧倒的な歌とダンスなのだ。

その意味では、『シカゴ』や『プロデューサーズ』のように、物語そのものがしっかりしていて、さらに音楽と踊りでも魅せる作品が特に好きなのかもしれない。

もちろん、この先もっと多くの作品を観れば、感じ方は変わるのだろう。

帰宅すると、二号室のYさん、Hさん、その看護師仲間のみなさんがパーティー中だった。

牡蠣フライとエビフライをごちそうになる。

観劇で満たされた一日の締めくくりに、思いがけないごちそうまでいただいてしまった。

今日はブロードウェイを二本ハシゴ。

頭の中は、まだ舞台の余韻でいっぱいだ。

それでは、おやすみなさい。

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