NY通信Vol.180:アクターズ・スタジオ再び!

朝7時30分起床。

1コマ目はアクティング。

授業の冒頭、ジミーが20年前、自身がまだ演技を学んでいた頃のニューヨークについて話してくれた。

夜道で大男に襲われ、助けてくれたと思った二人組まで実は仲間で、結局お金を巻き上げられたという。

今では想像しにくいが、当時のニューヨークは本当に危険だったらしい。

現在のマンハッタンは治安が大きく改善され、警察官の姿も街中でよく見かける。

もちろん油断は禁物だが、以前とはまったく違う街になっている。

レッスンでは、キャシーとジェイドのシーン。

ジミーは、

「アクティビティが明確ではない。」

「コミュニケーションが不足している。」

と指摘する。

続いてカミルとジョン。

ジョンは「赤ちゃんを連れて匿ってほしい」と助けを求めて訪ねてくる。

赤ちゃんはマイムで表現しているのだが、カミルは思わず、

「偽物の赤ちゃんなんて抱えて何をしてるの!」

と反応。

教室は笑いに包まれた。

ただ、それは役ではなく俳優自身が状況を否定してしまった瞬間でもあった。

まだ長いトンネルの中でもがいているのが伝わってくる。

続いて僕とダン。

今回の想像上の環境は、

「経営していた会社が倒産し、借金返済と従業員への退職金を保険金でまかなうため自殺を決意。その前に親友であるダンの家を訪れ、酒を酌み交わし、別れの手紙を託す。」

という設定だった。

ジミーは、

「独創的だ。」

と評価してくれた。

その一方で、

「展開が少し早い。もっと丁寧に積み重ねよう。」

ともアドバイスをくれた。

納得できる指摘だった。

ダンには、

「カツの行動をもっとよく見て。たくさんの瞬間を見逃している。」

というコメント。

ジミーはよく、

「想像上の環境は、その人の才能だ。」

と言う。

僕もその考えには大いに共感する。

もちろん、それは生まれ持った才能だけではない。

経験や努力によって育てていける力でもある。

魅力的な状況を生み出せれば、そのぶん芝居も豊かになる。

最後はハロルドとマックス。

「すべてを感じるだけで何もしない役者。」

「十分に感じながら、何か行動する役者。」

「私なら後者を選ぶ。」

さらにジミーは言った。

“Acting is doing.”

演技とは、行動することだ。

その考え方はよく分かる。

ただ、僕自身は少し違う見方もしている。

マイズナーが言う “doing” は、単なる身体的な動作だけではないはずだ。

心が動くこともまた、大切な「行動」なのではないか。

生意気にもそんなことを考えながら授業を終えた。

昼休みにはジェイドと宝くじを買う。

1ドルで当たれば大金持ち。時々2000億円とかあたるあれ。

夢を見るだけでも楽しい。

しかも、なぜかジェイドがスープをごちそうしてくれた。

ありがとう。

午後はバレエ、そしてスピーチ。

どちらも集中して取り組む。

放課後はダンと帰宅し、日課を済ませたあと、再び外出。

向かったのは、アクターズ・スタジオだった。

この日のゲストはマーク・ラファロ。

後に『スポットライト』でアカデミー賞にノミネートされ、『アベンジャーズ』シリーズでも世界的な人気俳優となる彼だが、この頃は『エターナル・サンシャイン』などで注目を集めていた。

ステラ・アドラー演劇学校の出身ということもあり、会場にはアドラー家の関係者も来ていた。

約3時間半。

マーク・ラファロは演技について語り続けた。

理解できたのは半分弱だったが、それでも十分に刺激を受けた。

前回ここで話を聞いたのはフォレスト・ウィテカーだった。

その後、彼はアカデミー主演男優賞を受賞した。

冗談半分で、

「僕が観たから受賞したんだ。」

などと思っていたが、マーク・ラファロも、きっとこれからさらに大きな俳優になる。

そして、いつの日か。

今度は自分が、あの場所でインタビューを受ける側になりたい。

そんな夢を胸に刻みながら帰路についた。

体調は完全復活。

明日からまた、全力で走ろう。

それでは、おやすみなさい。

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