7時30分起床。
1コマ目はアクティング。
最初はジョンとダーニャ。
二人とも悲しみの感情でシーンに入る。
途中、ダーニャは思うようにコミュニケーションが取れず、何度も
「ジョン!」
と呼びかける。
そのたびにジョンは、
「What!?」
と、少し相手をすかすような返事をする。
するとジミーが止めた。
「ジョン。君は自分が居心地の悪い状況になると、相手を軽くいなしてしまう癖がある。それはやめよう。」
確かに最近のジョンには、この反応がよく見られる。
本人もきっと気付いていないクセなのだろう。
続いてダンとアリス。
最初の設定では、ダンは知人の家へ盗みに入る人物。
アリスは中絶手術を終えて帰宅する女性。
ダンは黒づくめの服に顔まで黒く塗って登場したが、シーンはいまひとつだった。
そこでジミーが二人の設定を大胆に変更する。
ダンには、
「演出家から『役者として才能がない。諦めなさい』と言われ、そのことを両親へ手紙で伝えなければならない。」
アリスには、
「中絶したことを恋人へ伝えようとしたが、彼は電話番号まで変えて姿を消していた。誰にも頼れず、一人で病院へ行き、手術を終えて帰ってきた。」
という新しい状況を与えた。
これが見違えるほど良かった。
アリスは涙でマスカラが崩れ、顔中真っ黒になりながら泣き崩れる。
一方のダンも前の黒いメイクのまま。
結果として、二人とも真っ黒な顔で号泣するという、不思議な光景になってしまった。
真剣なシーンなのに、少し笑ってしまう。
続いてブリアナとクリス。
最初は二人とも「喜び」の設定だったが、ジミーはクリスだけを「怒り」に変更。
それだけでシーンがぐっと面白くなった。
改めて、感情の組み合わせ一つでドラマは大きく変わるのだと実感する。
昼休みはジムへ。
体を鍛えていると、ダンやBクラスのセバスチャンもトレーニングしていた。
午後はスピーチ、そしてダンス。
どちらも集中して取り組む。
放課後にはうれしい出来事があった。
学校の仲間たちが、
「カーネギーホールを観に行きたい!」
と言って、チケットを買ってくれたのだ。
ハロルド、ジェイド、マコーレ、ブリアナ、ピート、二年生の男子、図書室のデイル、そしてフリオ。
さらにクリスとキャシーも来てくれるかもしれない。
気がつけば、チケットは8枚も売れていた。
本当にうれしい。
帰宅後は、明日の本番に備えて日課はお休み。
景気づけにサーロインステーキとナンを食べ、少し仮眠を取る。
夜はテルの家で最後のリハーサル。
11時過ぎまで稽古を重ねた。
終わる頃には、まるで温泉に入った後のような心地よさだった。
準備は万端。
帰り際、テルと固く握手を交わす。
いよいよ明日は本番。
謙虚に、誠実に、そして全力で舞台に立とう。
それでは、おやすみなさい。


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