NY通信Vol.133:ジャックもやめちゃった!

仲間との別れを思いながら教室を見つめる演劇留学生

7時30分起床。

登校前、アクティビティと感情準備を一つずつ思いつき、ノートに書き留める。

少しずつアイデアの引き出しが増えてきた。

1コマ目はアクティング。

週に一度のピケのクラスだ。

この日はカミルとマットが即興を行った。

カミルのアクティビティは、「亡くなった親戚の子どもが好きだった曲をフルートで演奏する」というもの。

ところが、フルートにも慣れておらず、想像上の環境にも十分入り込めていなかったため、見ているこちらまで少し気恥ずかしくなってしまった。

そこへ部屋へ入ってきたマットが、

「君はフルートを吹いている。」

と言った瞬間、ピケがすぐに止めた。

「それはただの観察だ。『この壁はブロックでできている』と言っているのと同じ。事実ではなく、その下に流れている感情のモメントを語りなさい。」

なるほど、その通りだと思った。

ここで少し話はそれる。

ここ1、2年、僕はコミュニケーションそのものがエンターテインメントだと感じている。

特に会話は面白い。

もちろん、相手が何を返してくるか分からない面白さもある。

でも、本当に興味深いのは、その言葉の奥でやり取りされている感情だ。

そこまで自然に届く相手との会話は、本当に楽しい。

逆に、そこへたどり着くまで時間がかかる会話は、少しもどかしく感じることもある。

授業中にはこんな一幕もあった。

この日、ピケは電車の遅延で少し遅れて教室へ来た。

ちょうどクリスも遅刻してきたところだった。

するとピケは笑いながら、

「クリス、今日は遅刻したね。でも僕は遅刻してないよ。だって僕が来ないと授業は始まらないからね。」

教室は笑い。

その後もしばらくクリスをいじって遊んでいた。

こういう余裕のあるユーモアが、ピケらしくて好きだ。

2コマ目はバレエ。

3コマ目はミュージック。

僕が歌ったのは “Breaking Up Is Hard to Do”

「君と別れるなんてできない」と歌い続ける切ないラブソングだ。

難しい曲なので、クラスでも挑戦する人はほとんどいない。

今回は、歌詞の意味を一つひとつ噛みしめながら歌うことを課題にした。

手応えは上々。

まだまだ磨いていきたい。

4コマ目はクイントンのアクティング。

クリスとハロルドが挑戦した。

ハロルドは「昨夜、恋人と最高の夜を過ごし、プロポーズを考えている」という設定だったが、クイントンは首を振る。

「もっと個人的にしよう。」

そして設定を変えた。

「昨夜はうまくいかなかった。最後は彼女に『そんな日もあるわ』と慰められた。」

その瞬間、ハロルドの表情が一変した。

即興中もクイントンは、

「ハロルド! 昨夜のことを思い出せ!」

と絶妙なタイミングで声をかける。

教室は笑いに包まれた。

終わったあと、クイントンが尋ねる。

「ハロルド、今どんな気分?」

するとハロルドは即座に、

I hate you!

教室中、大爆笑だった。

その後はジョンとレビーのシーン。

とてもいい芝居だった。

ふと隣を見ると、マコーレが涙を流している。

同じ芝居でも、心を動かされる場面は人それぞれ違うのだと改めて感じた。

放課後は、自作の自主練ルーレットで決まったマックスと自主練習。

充実した時間を過ごし、帰宅して歌を二回歌い、日課を半分終える。

その後、一通のメールが届いた。

送り主はジャック。

内容は、「学校を辞めます」。

これでクラスを去る仲間は四人目になった。

ジャックはずっと自意識の強さに苦しんでいた。

その気持ちは痛いほど分かる。

役者を目指す限り、自意識との戦いはどこへ行っても続く。

だからこそ心の中で思った。

頑張らないで、頑張れ。

夜は友人の家で、13日に控えたカーネギーホール公演の稽古。

流れはほぼ完成した。

明日、仕上げよう。

今日も一日、思い切り楽しんだ。

明日は、もっともっと楽しもう。

それでは、おやすみなさい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました