7時30分起床。
登校前、アクティビティと感情準備を一つずつ思いつき、ノートに書き留める。
少しずつアイデアの引き出しが増えてきた。
1コマ目はアクティング。
週に一度のピケのクラスだ。
この日はカミルとマットが即興を行った。
カミルのアクティビティは、「亡くなった親戚の子どもが好きだった曲をフルートで演奏する」というもの。
ところが、フルートにも慣れておらず、想像上の環境にも十分入り込めていなかったため、見ているこちらまで少し気恥ずかしくなってしまった。
そこへ部屋へ入ってきたマットが、
「君はフルートを吹いている。」
と言った瞬間、ピケがすぐに止めた。
「それはただの観察だ。『この壁はブロックでできている』と言っているのと同じ。事実ではなく、その下に流れている感情のモメントを語りなさい。」
なるほど、その通りだと思った。
ここで少し話はそれる。
ここ1、2年、僕はコミュニケーションそのものがエンターテインメントだと感じている。
特に会話は面白い。
もちろん、相手が何を返してくるか分からない面白さもある。
でも、本当に興味深いのは、その言葉の奥でやり取りされている感情だ。
そこまで自然に届く相手との会話は、本当に楽しい。
逆に、そこへたどり着くまで時間がかかる会話は、少しもどかしく感じることもある。
授業中にはこんな一幕もあった。
この日、ピケは電車の遅延で少し遅れて教室へ来た。
ちょうどクリスも遅刻してきたところだった。
するとピケは笑いながら、
「クリス、今日は遅刻したね。でも僕は遅刻してないよ。だって僕が来ないと授業は始まらないからね。」
教室は笑い。
その後もしばらくクリスをいじって遊んでいた。
こういう余裕のあるユーモアが、ピケらしくて好きだ。
2コマ目はバレエ。
3コマ目はミュージック。
僕が歌ったのは “Breaking Up Is Hard to Do”。
「君と別れるなんてできない」と歌い続ける切ないラブソングだ。
難しい曲なので、クラスでも挑戦する人はほとんどいない。
今回は、歌詞の意味を一つひとつ噛みしめながら歌うことを課題にした。
手応えは上々。
まだまだ磨いていきたい。
4コマ目はクイントンのアクティング。
クリスとハロルドが挑戦した。
ハロルドは「昨夜、恋人と最高の夜を過ごし、プロポーズを考えている」という設定だったが、クイントンは首を振る。
「もっと個人的にしよう。」
そして設定を変えた。
「昨夜はうまくいかなかった。最後は彼女に『そんな日もあるわ』と慰められた。」
その瞬間、ハロルドの表情が一変した。
即興中もクイントンは、
「ハロルド! 昨夜のことを思い出せ!」
と絶妙なタイミングで声をかける。
教室は笑いに包まれた。
終わったあと、クイントンが尋ねる。
「ハロルド、今どんな気分?」
するとハロルドは即座に、
「I hate you!」
教室中、大爆笑だった。
その後はジョンとレビーのシーン。
とてもいい芝居だった。
ふと隣を見ると、マコーレが涙を流している。
同じ芝居でも、心を動かされる場面は人それぞれ違うのだと改めて感じた。
放課後は、自作の自主練ルーレットで決まったマックスと自主練習。
充実した時間を過ごし、帰宅して歌を二回歌い、日課を半分終える。
その後、一通のメールが届いた。
送り主はジャック。
内容は、「学校を辞めます」。
これでクラスを去る仲間は四人目になった。
ジャックはずっと自意識の強さに苦しんでいた。
その気持ちは痛いほど分かる。
役者を目指す限り、自意識との戦いはどこへ行っても続く。
だからこそ心の中で思った。
頑張らないで、頑張れ。
夜は友人の家で、13日に控えたカーネギーホール公演の稽古。
流れはほぼ完成した。
明日、仕上げよう。
今日も一日、思い切り楽しんだ。
明日は、もっともっと楽しもう。
それでは、おやすみなさい。


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