NY演劇留学記116|予定どおりにいかない日も悪くない

9時起床。

午前中は読書。

今日はイプセンの**『幽霊』と、オスカー・ワイルドの『まじめが肝心』**を読み終えた。

『幽霊』は、未亡人アルヴィング夫人と牧師との会話を通して、亡き夫の本当の姿が少しずつ明らかになっていく作品。

父親の影響から息子を守ろうと遠くへ送り出したものの、結局その息子も父と同じ運命をたどってしまう。

以前、一度原作を読み始めて途中で挫折した作品だったが、物語全体を理解すると、とても納得できた。

『まじめが肝心』は、アルジャノンとジャックという二人の青年が、それぞれ恋人との結婚を目指す中で出生の秘密が明らかになるコメディ。

実はニューヨークへ来たばかりの頃、この作品を舞台で観たことがある。

当時は英語がほとんど聞き取れず、「面白かったけど何が起きていたのか分からない」という状態だった。

原作を読んでようやく、「こういう話だったのか」と長年の疑問が解けた。

夕方は、KMさんに紹介していただいた、ロサンゼルスで演劇を学んでいるTさんと待ち合わせ。

ブロードウェイで**『RENT』**を観る予定だった。

ところが劇場へ着いてみると、なんだか様子がおかしい。

そう。

クリスマスで休演だった。

完全に確認不足。

申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

気を取り直して別の作品を観ようとチケットセンターへ向かう。

『The Drowsy Chaperone』のロッタリーに並ぶ。

ようやく順番が来たと思ったら、

受付のおじさんが一言。

「今日はロッタリーないよ。」

……またダメ。

観劇モードだったので、今度は映画へ切り替えることにした。

選んだのは**『ナイト ミュージアム』**。

夜になると博物館の展示物が動き出すというファンタジー作品で、以前から気になっていた映画だった。

時間まで少し余裕があったので、一度アパートへ戻ってお茶を飲む。

そして上映時間ぎりぎりに映画館へ。

ところが今度は満席。

仕方なく階段に座って観始めたら、開始早々スタッフがやってきた。

「階段には座らないでください。」

結局、階段組は全員退場。

今日はいったい何なんだ(笑)。

前に座っていた東欧出身らしき男性がかなり怒っていた。

憂いを帯びた東欧人の怒り方が切なく見えて印象に残った。

結局その日は、

「今日はお互い雨男女やね。今日はもう何も観るなってことや。」

という結論に落ち着き、僕の部屋でビールを飲みながらゆっくりお話をすることにした。

演劇学校のこと。

アメリカでの生活。

英語のこと。

Tさんはロサンゼルスで2年半学び、英語もかなり話せるようになっていた。

それでも発音には苦労しているという。

特に**”girl”**。

この単語だけで盛り上がった。

単語は簡単、でも発音は難しいよ。

さらに、ハリウッドのあの手形のある通りから歩いて10分ほどの場所に住んでいると聞いて驚いた。

クリスマスに焼いたチキンの丸焼きも、残っていた分をごちそうした。

「おいしい。」

と言ってもらえてうれしかった。

本人は「私はのんびりしてるだけです」と笑っていたけれど、異国で演劇学校を卒業するまで頑張ったんだ。

きっと想像以上に大変だったはずだ。がんばりやさんに違いない。

気づけば日付が変わる頃。

ビールも入って、心地よく酔ったまま眠ってしまった。

この日記は翌朝書いている。

予定どおりには何一つ進まなかった一日。

でも、とても楽しいクリスマスの思い出になった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました