【NY演劇留学:32/263】本当のあなただけで十分

7時起床、11日目。

かけ布団がない。少し肌寒くて目が覚めた。NYの冬は極寒。まだ必需品が揃ってない。

予備の水もない。僕は水をすごく飲む。新陳代謝がよく大食いでもある。燃費はわるいな・・。

かけ布団と水を放課後買いに行くと決めた。早く目が覚めたので「セールスマンの死」を読む。

新居はマンハッタンのど真ん中、徒歩で学校に行く。10分で到着、走れば5分だな笑。

1コマ目、アクティング

今日もリピーティング(*1)。

「そろそろ次の段階に行く。リピーティングそのものは、新しい課題を加えながら1年間続ける」

「役者修行する上で、時間は友達(あせるな)」

レッスンの冒頭、ジムが言った。


(*1)リピーティングとはマイズナーテクニックの代表的練習法。二人一組で行う。

最初は相手の言ったことをただ繰り返す。徐々に自分や相手の中で起こっている衝動も伝えていく。

丁寧に自分や相手の衝動に向き合う過程で、瞬間の衝動をとらえられる(表現できる)ようになる。 


今日はまず、ハロルドとジャックがリピーティングを行った。

「お互いをよく感じているのはわかる。ハロルドはそれを見せなさすぎる。ジャックは見せすぎる。

観客は本当のあなただけで充分だ」

ジムが指摘する。ハロルドは経験不足による表現不足。ジャックは表現過多。

ジャックについてちょっと。演技経験があり、それが鼻につく。皆もそれは感じている。

個人的にはハロルドより表現過多のジャックの方が後々困るだろうなと思う。

例えば西洋人がよくする「オーノー!」のジェスチャー、あの両手を広げるあれ。

ジャックはあれを臆面もなくやってしまう。

そしてジムが他の生徒にアドバイス中、目を閉じてしたり顔で頷いたりする。

時々小声で「オーイェイ」とか言ってしまう・・ジャックはちょっと痛いのである。

続いてレビーと再びジャックのリピーティング。

表現過多のジャックに感じやすいレビー。リピーティングがどんどん激しくなっていく笑。

しばらく黙って見つめていた講師ジムが突然

「何もするな、何も言うな。ただ見つめあって。」

と言う。しばらく二人見つめ合ったまま沈黙。1分後ジャックがもじもじし始めた。

沈黙に耐えられないのだ。やがておかしな行動をとりはじめ、ついに

「僕は沈黙が嫌いだ。どうしていいかわからない」

と泣きださんばかりに制御不能になった。ジムに促され意外なことを告白し始めた。

「僕は昔ひざに癌があったんだ」

驚いた。子供の頃車いす生活でいじめられたり大変だったこと、今は順調に治りつつあること等を告白した。ジムはそのことを知っていた。

ジャックの言動が表現過多、上からで鼻につくのは、裏を返せば、弱みを見せられない虚勢、本当は弱いという意味でもある。

今ここでジャックに告白させたのは、よいタイミングと思ったのか。詳細な英語が聞き取れなかったので定かではない。今後確かめる。

いずれにしろジャックにとってこのリピーティングはすごく役に立った、皮が一枚剥けた、殻を破った瞬間だったと思う。

そういう瞬間に立ち会えるのは本当に光栄。この学校での1年間、次から次へこういうことが起こった。

ベスとダンもリピーティングをやった。

ベスは笑顔がかわいくて歌も上手、CDも出している。僕は大好き。

ダンは僕と仲がいい。昔アメフト選手、声も体も心もでかい男。彼のことも僕は大好き。

ダンは優しい男だが、声大きくてリアクションが硬い(最近よくなってきているが)ので怖い。

「You don’t like it!」

否定の言葉を繰り返しているうち、ベスが立っているのもやっと、ポロポロポロ涙をこぼし始めた。

ダン、慌ててたなぁ笑。レッスン後ランチ食べている時、笑顔が戻っていたので安心した。

2コマ目、スピーチ。発音に励む。

3コマ目、ミュージック。発声に励む。

放課後、スーパーに寄り、食材を買い込み一旦帰宅。

再度お出かけ、日本食スーパーに行き、米、のり等お弁当の食材を買いに行く。

今日、ランチでサンドウィッチを買った。8ドル=ほぼ1000円もした。高すぎる!!

というわけで明日からお弁当にする。おにぎり、ジャパニーズライスボール。

これマット(身長2m6cmのビッグガイ)に大好評!

先週末までの友人宅居候中、テルがザ・ジャパニーズ弁当をずっと作ってくれていた。

テル~本当にありがとな!明日から自分でお弁当作るよ。食材を完璧に揃え、大満足で部屋に帰る。

ノー!肝心のかけ布団買うの忘れた!!明日も寒くて目覚めるな・・明日こそ買おう。

今日も全力だった。ではおやすみなさい。

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