【NY演劇留学:26/263】僕も壁にぶつかった

6時15分起床。7日目。

1コマ目、アクティング。今日の主役は僕。今日2回目のリピーティング(*1)をやった。


(*1)マイズナーテクニックというメソッドで行われる練習法。二人一組で行う。

最初は相手の言ったことをただ繰り返す。その後衝動も伝えていく。

丁寧に自分や相手の衝動に向き合う過程で、瞬間の衝動をとらえられる(表現できる)ようになる。 


相手はジョン。芝居経験ありのクラスのリーダー的存在。

僕は前回の繰り返しがすごくいい感じだったし、最近は緊張も楽しめるようになってきているのでリラックスして臨む。

僕も壁にぶつかった。

発信はOK。でも受信時、特に相手の発言した内容がわからなかった時

「今何言った?」と頭で考えてしまう。

その瞬間そこから僕がいなくなる。相手を感じている僕はどこかにいってしまう(注)。その通りだった。

(注)物理的にいなくなるわけではない。そこに居るけど居ない、演劇でよく言われる状態。

ジョンにもそこを指摘された。僕がその状態になった途端に

「Listen!」「Listen!!!」「I can’t see you!!」と言われる。

僕は時々帰って来るが、またどこかにいってしまう。かなり長い時間繰り返しが行われ、最終的にはやっと感じあう。

「Great!!」と絶叫しあい終了。

ジムに「英語は気にするな。彼のビヘイビア(行動)を見て感じろ」と言われる。

僕はそこで「彼がなぜ時々とても攻撃的になったのかがよくわからない」と答え・・

いろいろ込上げてきて泣いてしまった。

ジョンとリピーティングの最中、僕は自分や相手にきちんと向き合わなかった。

ジョンを理解できないでいること、彼がフラストレイションから攻撃的になっていることはわかっていたにもかかわらず・・。

「なぜそうなったかわからない」と言い訳をした(昨日のデイルと同じ)。

「英語ができないからだ」と言い訳にした(初日のカミルと同じ)。

そして僕は泣いてしまったのだ。

でも僕は全く気にしない。なぜなら制御不能(泣くことだけじゃないよ)に一度はなることが近道だということを知っているから。

むしろありがとうという感じ。明日からまたもっと垂れ流しで行く(笑)。

二コマ目、バレー。今日は「シャッセ」を習った。1番から5番、プリエ、ドゥミプリエ諸々の後・・

それにしても自分のダンスを鏡で見るといつも「笑わせようとしてるだろ」と言いたくなる。

でも、笑わせようとしている生徒はまわりにも沢山いた。だから大丈夫。

何が大丈夫かはわからないけど大丈夫(笑)。ひたすら励む。

とにかく俳優のダンスは、踊れないながら何かを表現しようとするので本当におもしろい。

三コマ目、スピーチ。今日も発音に励む。

学校終了後、ダンといっしょに近くの公園でアメリカ上陸後初の読み合わせを行う。

彼のことをお伝えしておく。彼はまじでいいやつ。

トロント出身のカナダ人。大学では歴史を専攻し、アメフトをやっていたガタイのいい、インテリ肉団子みたいな男。

芝居は未経験なので繰り返しは、笑っちゃうくらいかたい、ロボットみたい。

でも誠実な人柄が繰り返しに出ておもしろいし、最近やわらかくもなってきた。

一番仲良くて昼飯もいつも一緒。

僕のつたない英語にもちゃんとつきあってくれる。スラング連発だけど。

そんな彼と学校隣の公演で台本の読み合わせだ。

図書館でシモーン(Vol.19参照)に強烈に薦められた本。

「セールスマンの死」無名塾で仲代達也さんが演じている。文学座でも北村和夫さんが演じた。

今朝早く起きてその予習をやった。なんてグッドスチューデント!

今日は読み合わせ40ページまでやった。彼の役にも立つといいんだけど自信はない。

早く英語力をつけて彼の役にもたとう。その後どっと疲れが出て帰宅後2時間仮眠。

夜、青年団の演出家に紹介された役者の芝居を観に行く。

「The Beauty Project」というギリシャ悲劇を下地にした、美と暴力がテーマのお芝居。

試演なので場所も区民センター的なところで衣装や小道具も自分達でそろえていた。

喋りは2割しかわからなかったがテーマはおもしろかったし、興味深いお芝居だった。

お芝居後、同じく文化庁の派遣で来ている舞台監督、舞台美術家の方とも話した。

「日本人が役者としてやっていくなら発音がとても大切」と言われる。肝に銘じた。

役者さんとはまた会う約束をして帰った。今日も「セールスマンの死」をできるだけ読んで寝る。

おやすみなさい。明日も全力疾走でいきます。

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